SF短歌/皆瀬仁太・作(旧作)

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本ページの短歌は、2001年に発表された作品です。


「太陽のきんのスープ」と少女から呼ばれるクジラ高く跳ぶらし


細やかに銀河はめぐる星星のスピログラフを重ねつつ 秋


筋肉を強化しすぎたサイボーグみたいな君の骨粗鬆症


紅き地を地球化しゆく緑たち湿りたる息がうがうと吐く


星をみる望遠鏡ほ買ふためにジョバンニはいま働いてゐる


テラバイト単位で君は壊れゆくアーティフィシャルなインテリジェンス


後頭部あたりのジャックを引き抜けばただの生身ジャンクになりたる天使


さかりゆく月に焦がれし猿の群れ手を高高と夜へ差し出す


ひなぼしの紅き砂漠に鳴きねずみ遠き日の夢追ふやうにゆく


白亜とふ美名なる世に累累とアンモナイトの果ててゆきたり


延延と廃墟を縫い合はせるやうに鉄道を敷く野の機械たち


AIは冬の寂しさ知りてよりカウントゼロりはじめぬ


フォボス行き各駅停車はがらがらで吊り革ばかり漂ひてをり