九組のつぶらな瞳が、彼女に注がれていた。遊び盛りの子供たちだったが、彼女が物語を語ってきかせると、騒ぐこともなく夢中になっていた。 「のぞみおばあちゃん、それからどうなったの?」 子供たちの中で一... 続きを読む
タグ: 科学
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三三節「未来の遺伝子」Part-2/諌山 裕
最近まで――というのは、二〇〇二年以前でのことだが、遺伝子研究者の間では、ヒトのDNAの九七%は意味のない塩基配列の反復であり、なんの役にも立たないと考えられていた。 ヒトゲノムの全塩基配列の地図... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三三節「未来の遺伝子」Part-1/諌山 裕
人類の歴史を語る過去の遺物。 過去を辿ることは、未来を予見することでもある。過去に起こった出来事を、直接垣間見ることはできないが、遺物は記憶の断片なのだ。そして記憶は未来を導く、道しるべとなる。 ... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三一節「エデン」(後半)/諌山 裕
♪♪ “時間がほしい、愛も、喜びも 空間がほしい、愛も ほしいの……私が アクション 私っていう女の子にセイ・ハロー 私の視界を覗いてみて 自分が誰だか確かめるために間違いだって犯すの ... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三一節「エデン」(前半)/諌山 裕
まっ白な空間。 すべてが光に包まれ、ふわふわと漂っているような浮遊感。彼は自分の体が、妙に軽くなっていることに気がつく。軽くなっているのは体だけではなかった。意識もふわふわと脈絡なく彷徨い、体から... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二十節「波紋」/森村ゆうり
本来なら昼の光が差し込んでくるはずの窓という窓には暗幕が張られ、第一体育館はただ一ヶ所を除いては暗く静かだった。人々が息を殺して見詰める先には、明るく照らし出された舞台があった。 引き込まれる。 ... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十二節「ミッシング・トリガー」/諌山 裕
私立「聖天原学園中学校」の文化祭――天原祭を二週間後に控えて、校内の雰囲気は徐々にテンションが高くなっていた。 天原祭は生徒たちが中心となって企画・運営され、各学年、各クラスから選ばれた実行委員に... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第九節「文化祭への道」/森村ゆうり
九月とはいえ、秋の気配など微塵も感じさせない暑い日が続いていた。 学園では十月初めに開催される文化祭に向けて、生徒も教職員も準備に余念が無かった。聖天原学園中学校の文化祭は、一般的な中学校の文化祭... 続きを読む