九組のつぶらな瞳が、彼女に注がれていた。遊び盛りの子供たちだったが、彼女が物語を語ってきかせると、騒ぐこともなく夢中になっていた。 「のぞみおばあちゃん、それからどうなったの?」 子供たちの中で一... 続きを読む
タグ: 空間
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三三節「未来の遺伝子」Part-2/諌山 裕
最近まで――というのは、二〇〇二年以前でのことだが、遺伝子研究者の間では、ヒトのDNAの九七%は意味のない塩基配列の反復であり、なんの役にも立たないと考えられていた。 ヒトゲノムの全塩基配列の地図... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三一節「エデン」(後半)/諌山 裕
♪♪ “時間がほしい、愛も、喜びも 空間がほしい、愛も ほしいの……私が アクション 私っていう女の子にセイ・ハロー 私の視界を覗いてみて 自分が誰だか確かめるために間違いだって犯すの ... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三一節「エデン」(前半)/諌山 裕
まっ白な空間。 すべてが光に包まれ、ふわふわと漂っているような浮遊感。彼は自分の体が、妙に軽くなっていることに気がつく。軽くなっているのは体だけではなかった。意識もふわふわと脈絡なく彷徨い、体から... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二六節「サイレント・ナイト」Part-2/諌山 裕
理奈とアンドルーがサバイバル生活を始めて、三五日が経っていた。三五日生き延びたというのが正しいかもしれない。 昼間の紫外線と熱さを避けて、朝方と夕暮れに活動し、食べられそうな植物や果実を探した。と... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二六節「サイレント・ナイト」Part-1/諌山 裕
一辺が三〇メートルほどの部屋は、まるでSF映画の未来住居を思わせた。壁と天井には三〇センチ四方のピラミッド型に突きでた壁材がはめこまれ、金属的な輝きと鋭利な先端が未来的な感覚と同時に落ちつかない緊張... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二五節「秘密」/森村ゆうり
カリカリという小さな音がはてしなく続く、緊迫した空気に占領された教室で、生徒たちは本分である学習の成果を示す試験に取り組んでいた。 天原祭が終わるとすぐに学園は中間考査のテスト期間に突入する。生徒... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二一節「ミス・マリア」<前半>/諌山 裕
銀河の星々を映しだす天体測定ラボ――。 理科室はスタートレック・ボイジャーの天体測定ラボへと様変わりしている。ベニヤ板とダンボールと発泡スチロールを使い、天文部員の作った粗末なセットではあるが、雰... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二十節「波紋」/森村ゆうり
本来なら昼の光が差し込んでくるはずの窓という窓には暗幕が張られ、第一体育館はただ一ヶ所を除いては暗く静かだった。人々が息を殺して見詰める先には、明るく照らし出された舞台があった。 引き込まれる。 ... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十九節「夢見るものの夢」/皆瀬仁太
「ふふん、見たところ体力だけが自慢のようだな。この勝負もらった」 達矢はにやりと笑ってみせた。彼の計算では凄味が出ているはずなのだが、ゲーリーは達矢と同じように「ふふん」と鼻を鳴らしてみせた。 「女... 続きを読む