理想郷“エデン”は無人の都市であるかのように、ひっそりと静まりかえっていた。深夜の時間帯ではあったが、主だった通りでさえ出歩いている者はいなかった。エデンは突如として不気味な沈黙に包まれていた。 ... 続きを読む
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リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三三節「未来の遺伝子」Part-2/諌山 裕
最近まで――というのは、二〇〇二年以前でのことだが、遺伝子研究者の間では、ヒトのDNAの九七%は意味のない塩基配列の反復であり、なんの役にも立たないと考えられていた。 ヒトゲノムの全塩基配列の地図... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三二節「時のユグドラシル」(前半)/諌山 裕
“もろもろの聖なる族(やから)、ヘイムダルの貴賎の子らよ。私の言葉に耳をかたむけるがいい。死せる戦士の父なる神よ、ここに、御心に従い、記憶のはての古き世のさまを、語り説きたてまつる。 遠い世の巨人の... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第三一節「エデン」(前半)/諌山 裕
まっ白な空間。 すべてが光に包まれ、ふわふわと漂っているような浮遊感。彼は自分の体が、妙に軽くなっていることに気がつく。軽くなっているのは体だけではなかった。意識もふわふわと脈絡なく彷徨い、体から... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二六節「サイレント・ナイト」Part-3/諌山 裕
「見て、あの稜線には見覚えがあるわ!」理奈は指さした。 乾燥した荒れ地の西に、砂塵に霞む山々の稜線が地平線の上に浮かんでいた。太陽は昇ったばかりだったが、早くも大地を暑く熱し始めていた。 「ああ、た... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二一節「ミス・マリア」<前半>/諌山 裕
銀河の星々を映しだす天体測定ラボ――。 理科室はスタートレック・ボイジャーの天体測定ラボへと様変わりしている。ベニヤ板とダンボールと発泡スチロールを使い、天文部員の作った粗末なセットではあるが、雰... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十二節「ミッシング・トリガー」/諌山 裕
私立「聖天原学園中学校」の文化祭――天原祭を二週間後に控えて、校内の雰囲気は徐々にテンションが高くなっていた。 天原祭は生徒たちが中心となって企画・運営され、各学年、各クラスから選ばれた実行委員に... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第九節「文化祭への道」/森村ゆうり
九月とはいえ、秋の気配など微塵も感じさせない暑い日が続いていた。 学園では十月初めに開催される文化祭に向けて、生徒も教職員も準備に余念が無かった。聖天原学園中学校の文化祭は、一般的な中学校の文化祭... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第一節「未来の夏」/諌山 裕
物語の始まりと終わりは、未来。 二五九九年――夏。新世紀を間近にひかえ、世界は深海の闇と圧力に屈したかのように沈んでいた。大地は腐乱することなく乾いたミイラと化し、空からは空気すら殺す勢いで紫外... 続きを読む
NOVEL AIR ver2.01
発行1994/08/21、A5判、ページ126P、DTP編集、オフセット印刷(表紙カラー) 収録作品: ●ビールと麦茶とアイスクリーム/諌山裕 ●幻術魔術師カリム・大宇宙創世神話/皆瀬仁太 ... 続きを読む