二月に入ると冬の寒さは、一段とその猛威をふるい始める。暦の上では、春らしい言葉が登場する頃だが、実際には一年で一番寒い時期だ。 校庭のポプラの樹も唯ひたすら寒さに耐えているかのように、細い枝を空へ... 続きを読む
投稿者: NOVEL AIR
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二九節「ラスト・デタミネーション」/皆瀬仁太
二〇〇三年一月。 年が改まり、三週間ほどが過ぎていた。 年末年始の感慨、などを感じている余裕もなく、『J3K』への調査を進めてきたが……。 「達矢は転移、のぞみは敵の手の内。どうすんだよ!」 ... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二八節「グッバイ、フレンズ」/大神 陣矢
ゴロゴロと何かが鳴っている。 何の音だ。 それは自分の腹の音だ、と気づいた。 ひどく寒い。 なんだ。この。寒さは。 それは、命が流れ出ているからだ、と悟った。 頬に何かがこぼれた。とても... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二七節「ワン・クリック」/水上 悠
つけっぱなしだったテレビの画面に、なにげなく目を向けた黒井は、突然現れた臨時ニュースのテロップを見て、深いため息をついた。 『米軍がイラクの首都バグダッドに空爆を開始した模様』 すでに予期されてい... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二六節「サイレント・ナイト」Part-3/諌山 裕
「見て、あの稜線には見覚えがあるわ!」理奈は指さした。 乾燥した荒れ地の西に、砂塵に霞む山々の稜線が地平線の上に浮かんでいた。太陽は昇ったばかりだったが、早くも大地を暑く熱し始めていた。 「ああ、た... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二六節「サイレント・ナイト」Part-2/諌山 裕
理奈とアンドルーがサバイバル生活を始めて、三五日が経っていた。三五日生き延びたというのが正しいかもしれない。 昼間の紫外線と熱さを避けて、朝方と夕暮れに活動し、食べられそうな植物や果実を探した。と... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二六節「サイレント・ナイト」Part-1/諌山 裕
一辺が三〇メートルほどの部屋は、まるでSF映画の未来住居を思わせた。壁と天井には三〇センチ四方のピラミッド型に突きでた壁材がはめこまれ、金属的な輝きと鋭利な先端が未来的な感覚と同時に落ちつかない緊張... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二五節「秘密」/森村ゆうり
カリカリという小さな音がはてしなく続く、緊迫した空気に占領された教室で、生徒たちは本分である学習の成果を示す試験に取り組んでいた。 天原祭が終わるとすぐに学園は中間考査のテスト期間に突入する。生徒... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二四節「ある夜のイヴたちへ」/皆瀬仁太
晩秋。 風に揺れる紅葉が、濃く、鮮やかだ。 もみじ葉は、美しく色づいて来た季節と冬とを隔てる、境界線といえるのかもしれない。やがて本格的に葉は降りはじめ、生じた隙間から少しずつ冷たい風が吹き込ん... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二三節「未明の綾瀬」/大神陣矢
綾瀬理奈はつと躊躇った。 手をいちど引っ込め、……しかしややあって再び手をドアへ差しのべる。 その部屋つまり十四号室は、彼女たちが暮らす聖天原学園女子寮A棟の真ん中に位置しながら、長らく空き部屋... 続きを読む