晩秋。 風に揺れる紅葉が、濃く、鮮やかだ。 もみじ葉は、美しく色づいて来た季節と冬とを隔てる、境界線といえるのかもしれない。やがて本格的に葉は降りはじめ、生じた隙間から少しずつ冷たい風が吹き込ん... 続きを読む
タグ: 歴史
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第二一節「ミス・マリア」<前半>/諌山 裕
銀河の星々を映しだす天体測定ラボ――。 理科室はスタートレック・ボイジャーの天体測定ラボへと様変わりしている。ベニヤ板とダンボールと発泡スチロールを使い、天文部員の作った粗末なセットではあるが、雰... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十九節「夢見るものの夢」/皆瀬仁太
「ふふん、見たところ体力だけが自慢のようだな。この勝負もらった」 達矢はにやりと笑ってみせた。彼の計算では凄味が出ているはずなのだが、ゲーリーは達矢と同じように「ふふん」と鼻を鳴らしてみせた。 「女... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十八節「天原ステーション特別編・第ニ部」/大神 陣矢
「はーいみなさんこんにちはッ放送部によるおなじみお昼のプログラム天原ステ~ィション特別拡張版がいままさに再・スッタァ~~トッ一年生による第一部に続いてこれからはワタシたちニ年生コンビがみなさんのごっ機... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十五節「時を賭けた少年少女たち」/諌山 裕
“そう、そうなのか、ここへ人々がやってくるのは、生きようがためのことなのか。ぼくはむしろ、ここでは何もかも死んでゆく、と言いたいくらいだ。” ―――――ライナ・マリア・リルケ著「マルテの手記」の一節... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十四節「美しき神々の憂鬱」/皆瀬仁太
光輝はため息をついて、パソコン画面から視線をはずした。まぶたの上からそっと眼球をマッサージする。ここ最近、目にかなりの負担がかかっていると感じる。この時代のパソコンは電磁波が強くてストレスがたまりや... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十二節「ミッシング・トリガー」/諌山 裕
私立「聖天原学園中学校」の文化祭――天原祭を二週間後に控えて、校内の雰囲気は徐々にテンションが高くなっていた。 天原祭は生徒たちが中心となって企画・運営され、各学年、各クラスから選ばれた実行委員に... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第十節「二十六世紀の肖像」/皆瀬仁太
寮の窓から差し込む陽が、奥のベッドまで届いていた。いつのまに群れたのか、秋あかねが景色に色を加えている。ついっと線を引くように飛ぶ幾百のその姿にのぞみは目を奪われていた。 (あかとんぼ、か) 童謡... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第八節「妖剣・胡蝶陣」/大神 陣矢
「行くのか」 そう声をかけられ、足を止めて振り向いたのは、少壮の若武者だった。 無骨な面体に憂愁の色をたたえた巨漢の姿をみとめ、ふ、と口元を緩める。 「ああ。もう、この地に用はないゆえ」 「勿体な... 続きを読む
リレー小説『ラスト・フォーティーン』 第五節「過ぎし日々の想い」/諌山 裕
乾燥し荒れ果てた大地――。 砂塵をかぶって埋もれたアスファルトが、干上がった湖底のようにひび割れてささくれ立っている。かろうじて道路の名残とわかる道筋を、体全体をすっぽりと防護するスーツを着て、ひ... 続きを読む